赫哲族(ホジェン-ぞく)は中国東北のロシア国境付近に分布する少数民族でその数はわずかに4600人余り、中国55の少数民族の中でも最も人口の少ない民族の一つである。ホジェン族は古くから主に漁業と狩りで生活をたて、かつては魚の皮で衣服や布団を作り普段着として着用していた。
ホジェン族は中国東北地方の松花江、黒竜江、ウスリー江の三つの河沿いと完達山一帯に分布し、ロシアに一万人居住しているナナイ族と同じ民族である。ホジェン族は、魚の皮で作った服を着て犬を連れていたため「魚皮部落」「使犬部落」と呼ばれ、また清代には黒斤、黒其、赫真、奇楞などの呼び方も見られる。日本と同じように、生の魚を調理せずそのまま食べる文化がある。
ホジェン族の人々は老若男女を問わず漁業の名手であり、魚を捕まえ、魚を食べ、そして魚の皮を使って家を建て、船を作り、衣服を制作していた。北方の冷たい水に生きる魚の皮は、厚く頑丈で摩擦にも強く、日常生活の様々な場面に活用された。
ホジェン族の女性は魚皮の性質特性と縫製技法を熟知し、複雑な一連の加工工程を経て数々の服飾品を作り上げる。長年の経験から各種魚皮の特徴を知り尽くし用途に合わせて異なる魚皮を使いわける。鯉、カワマスなどの皮は魚皮糸やズボンの材料となり、鮭やウロコの細かい鯉などの皮で手袋を縫う。比較的大きい槐頭魚の皮では、鞄や袋類、ゲートル、靴の上部などが作られる。チョウザメの皮は耐水性が強く腐敗しにくいため特に夏服に適している。
魚皮衣服の制作工程は複雑である。まず捕まえてきた魚の皮を剥ぎ乾燥させてからウロコをとる。繰り返し木槌で打って布のように柔らかくする。魚皮の糸は、魚皮を乾かして四隅を切り落とし、魚油を塗り柔らかくして筒状に巻き上げ、刀で端から細い糸状に切って作る。魚皮糸を魚骨の針にとおし、魚皮を様々な形に裁断し縫製して衣服が完成する。草花から採取した染料で色づけすることもある。
ホジェン族の魚皮衣服のスタイルはチャイナドレスに似ており、袖は短く腰が締まり、膝下丈で襟が低い。魚皮のドレスはホジェン族の女性の正装であり、袖口、襟口、身ごろなどは刺繍や染色した鹿皮のパッチワークで、模様や動物などの手の込んだ図案が飾られる。天然の染料を使った紅、黒、藍色などを多用して素朴ながら民族文化を感じさせる。貝殻を縫い付けたものや、銅鈴で装飾されたものもある。女性と男性の服装はあまり変わらないが、刺繍や紋様が異なっている。魚皮の衣服は、軽くて摩擦に強く、防水性、保温性に優れていて、冬季も凍ったりせず非常に丈夫なのが特徴である。
ホジェン族は漁業を主に生業としてきたが、現在は農業、養殖業なども行っている。近代化によって生活習慣は大きく変化し、1950年代頃から漢族とかわらない綿や化繊の衣服を着用するようになった。今では魚皮衣服は儀式的な用途でわずかに制作されるのみである。最近は、魚皮衣服から発展した魚皮画が現れ、ホジェン族の文化を象徴するユニークな工芸品として注目されているが、伝統の魚皮衣服はホジェンの部落から次第に姿を消しつつある。
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